「どアップ」「のぞき見」「目かくし」――歌川広重の『名所江戸百景』を9つの視点で読み解く収蔵浮世絵展
江戸の町並みを描いた一枚の浮世絵。じっくり眺めてみると、「どうしてこんな構図にしたんだろう?」と気になる作品があります。
画面のすぐ手前に何かを大きく描いたり、建物などの隙間から向こうの景色をのぞかせたり、ときには空から見下ろしているような視点を取り入れたり――。
そんな歌川広重ならではの“風景の見せ方”に注目した収蔵浮世絵展「新版 広重目線」が、2026年9月19日(土)から足立区立郷土博物館で始まります。会期は11月23日(月・祝)までです。
八潮市から出かける際にうれしいのは、つくばエクスプレス八潮駅南口からバスでアクセスできること。少し足を延ばして、江戸の風景と広重の発想に触れてみるのも面白そうです。
江戸の風景を「そのまま描かない」広重のおもしろさ
今回の主役は、幕末を代表する浮世絵師・歌川広重(1797~1858)。晩年に手がけた大作として知られる連作「名所江戸百景」を題材に、独特の構図や表現を読み解いていきます。
広重が描いた風景は、目の前にある景色を写真のようにそのまま写したものではありません。
何を大きく見せるのか。何を隠すのか。どこから眺めるのか。
江戸の名所を印象的に伝えるため、さまざまな工夫が盛り込まれています。現代の写真撮影でいう「構図」や「切り取り方」に通じるような感覚もあり、浮世絵に詳しくない人でも「こんな見せ方があったのか」と楽しめそうな展示です。
2018年の企画展に4つの新テーマを追加、計9つの視点に
「広重目線」は、足立区立郷土博物館で2018年にも開催されています。当時は「名所江戸百景」の大胆な構図を5つのテーマから紹介しました。
今回はそこへ新たに4つのテーマを加え、合計9つの視点で広重の表現に迫ります。タイトルに「新版」と付いているのは、そのためです。
新たな視点のひとつとして紹介されているのが「都合のいい目かくし」。
「市ヶ谷八幡」では、門前町と高台にある八幡宮の間を霞が横切ります。途中の風景をあえて省略することで距離感を生み、高台の八幡宮をより印象的に見せる仕掛けです。
「全部を描かないからこそ、見せたいものが際立つ」。
そんな広重の工夫を知ってから作品を見ると、浮世絵の楽しみ方が少し変わってくるかもしれません。
開館40周年を迎える足立区立郷土博物館
会場となる足立区立郷土博物館は1986年に開館し、2026年11月に開館40周年を迎えます。
2025年4月にはリニューアルが行われ、地域の歴史や民俗資料に加え、足立区内の旧家などに伝わってきた美術品を常設展示できる機能も整備されました。今回の「新版 広重目線」も、同館が所蔵する浮世絵コレクションを紹介する展覧会です。
入館料は一般200円。さらに毎月第2・第3土曜日は無料公開日となっています。無料駐車場も用意されています。
江戸時代の浮世絵と聞くと、少し難しそうに感じる方もいるかもしれません。
ですが今回は、作品の歴史を覚えるというより、「広重はこの景色をどう見せようとしたのか」という視点から楽しめる展覧会。普段スマートフォンで写真を撮るときにも、「どこまで入れるか」「何を手前に置くか」と構図を考えることがありますが、そんな身近な感覚から眺めてみても面白そうです。
八潮駅からバスで向かえる距離にある足立区立郷土博物館。この秋、ちょっと違った“江戸の景色の見方”を体験してみてはいかがでしょうか。
開催概要
収蔵浮世絵展「新版 広重目線」
開催期間:2026年9月19日(土)~11月23日(月・祝)
開館時間:9:00~17:00(最終入館16:30)
会場:足立区立郷土博物館 企画展示室
所在地:東京都足立区大谷田5-20-1
休館日:毎週月曜日(祝日の場合は開館し、翌平日休館)
入館料:一般200円(高校生以上)
※20人以上の団体は半額
※70歳以上、障がい者手帳をお持ちの方と介護者1名は無料
※毎月第2・第3土曜日は無料公開日
アクセス:JR亀有駅北口、東京メトロ千代田線北綾瀬駅、つくばエクスプレス八潮駅南口からバス
駐車場:無料駐車場あり
問い合わせ:足立区立郷土博物館 03-3620-9393
出典・確認日
足立区「収蔵浮世絵展 新版 広重目線」(更新日:2026年9月9日)、足立区・PR TIMES「『新版 広重目線』展」プレスリリース(2026年9月14日公開)。
<Hacchinさん>
「やしおん」運営代表。ずっと八潮の人。30年近くネットの世界にいます。現在本職は小さなゲーム会社の管理部長。BBQインストラクター資格。とある町会役員。
八潮市の他、生活エリアである近隣の情報など拾っています。














