八潮から春日部へ延びる国道4号東埼玉道路も整備中。国と市の大型プロジェクトが重なる北部地域のこれから

八潮市の北部で進められている「北部拠点まちづくり事業」。
東京外環自動車道の新たなパーキングエリア(PA)やスマートインターチェンジ、「(仮称)道の駅やしお」、産業施設の誘致など、いくつもの計画が同時に動いています。
そして、このまちづくりを考えるうえでもうひとつ欠かせないのが、国土交通省が整備を進めている国道4号「東埼玉道路」です。
実は東埼玉道路の起点は八潮市。しかも北部拠点は、東埼玉道路と国道298号が交わり、その近くを東京外環自動車道が走る場所に位置しています。
つまり八潮市の北部拠点は、単に新しい施設をつくる計画ではありません。
東埼玉道路、外環道、国道298号という広域道路網と、PA、スマートIC、道の駅、産業拠点を組み合わせ、新しい交通と交流の拠点をつくろうとしているプロジェクトと見ると、その全体像がぐっと分かりやすくなります。
八潮市も「東埼玉道路や高速外環状道路による良好な交通アクセス」を北部拠点形成の強みとして位置付けています。
「やしおん」でも諸々とご紹介しておりますが、改めて今現在わかっている内容を取りまとめてみました。
そもそも「東埼玉道路」とは? 起点は八潮市

東埼玉道路は、八潮市の東京外環自動車道付近を起点として、春日部市の国道16号までを結ぶ延長約17.6キロメートルの国道4号です。
国土交通省によると、東北自動車道や常磐自動車道などの高速道路を補完するとともに、国道4号の交通渋滞緩和、沿線地域の開発支援、災害時の代替路確保などを目的としています。
特徴的なのは、一般的な国道部分にあたる「一般部(国道4号バイパス)」と「自動車専用部」がおおむね併設される構造になっていることです。
すでに一般部については整備が進み、2025年6月1日に吉川市川藤から松伏町田島までの約3.8キロメートルが開通。従来の開通区間約5.7キロメートルと合わせ、八潮側の起点から約9.5キロメートルが開通しています。
八潮から越谷、吉川、松伏、さらに春日部方面へと延びていく、大きな南北方向の道路軸です。
さらに進む「自動車専用部」 八潮~松伏9.5キロが事業中
ここで押さえておきたいのが、「すでに走れる東埼玉道路」とは別に、自動車専用部の整備も進められているという点です。
国土交通省は2020年度から、八潮市八條から松伏町田島までの約9.5キロメートルについて、自動車専用部の事業に着手しています。

国土交通省 北首都国道事務所ホームページ
2026年3月に国土交通省関東地方整備局が示した令和8年度の事業計画では、この「東埼玉道路(八潮~松伏)」について、
- 事業延長:約9.5キロメートル
- 全体事業費:約2,130億円
- 令和8年度:調査設計、用地買収、改良工、橋梁下部工などを予定
- 令和8年度の事業進捗見込み:13~24億円程度
とされています。
さらに国の資料では、2026年1月1日時点の用地取得率は93%で、すでに着工済みとされています。一方、完成時期については、円滑に事業を実施できる環境が整った段階で確定する方針で、現時点では明確な開通時期は示されていません。
2026年1月には草加市内で専用部の橋梁下部工事などに関する説明会も行われており、東埼玉道路は「将来構想」だけではなく、実際に工事が進んでいる段階にあります。
その“スタート地点”にあるのが八潮の北部拠点
ここまで見てくると、八潮市がなぜ北部地域を「拠点」と位置付けているのかが見えてきます。
北部拠点周辺では、国道4号東埼玉道路と国道298号が交差しています。さらに東京外環自動車道が通り、新しいPAとスマートICの整備も進められています。
八潮市自身も、この場所を「交通の要衝」と説明しています。
将来、東埼玉道路の自動車専用部やスマートICなどの整備が進めば、八潮から東京都心方面へ向かう交通だけではなく、越谷、吉川、松伏、春日部方面を結ぶ動線との結び付きも、これまで以上に強まることが考えられます。
北部拠点は、そうした交通条件をまちづくりに生かそうという計画なのです。
外環には約8ヘクタールの新しいPA

八潮市公式サイトより
もうひとつの大きな事業が、NEXCO東日本による「(仮称)外環八潮パーキングエリア」です。
東京外環自動車道の内回り・外回りの双方から利用可能、商業施設などを1カ所にまとめる「集約型」のPAが予定されています。
全体面積は約8ヘクタール。商業施設やトイレなどが整備される予定で、八潮市が2025年11月28日に更新した情報では、NEXCO東日本による工事が進められています。
実際にPA建設に伴って東埼玉道路の通行路が切り替えられるなど、両事業は同じエリアで密接に関わりながら工事が進んでいます。外環自動車道の2つ目のパーキングエリアです。
八潮市内から外環へ。「スマートIC」の整備も進む

(仮称)外環八潮スマートインターチェンジ 八潮市公式サイトより
PAとセットで計画されているのが、「(仮称)外環八潮スマートインターチェンジ」です。
ETCを搭載した車両が利用するインターチェンジで、建設中の八潮PAに接続する形で計画されています。
スマートIC本体だけでなく、「外環八潮スマートICアクセス線」や「入谷東西線」といった周辺道路も含めた整備が進められており、関連道路については2024年7月19日に都市計画事業の認可を受け、その後、測量作業などが進められています。
東埼玉道路と国道298号、そして外環道。
そこへスマートICが加わることで、北部地域は文字通り複数の道路が集まる場所になっていきます。
その交通量を「まち」に取り込む、「道の駅やしお」
道路が便利になっても、車がただ通り過ぎるだけでは地域への効果は限られます。
そこで八潮市が進めているのが「(仮称)道の駅やしお」です。
市は、東埼玉道路と国道298号が交差する交通の要衝であることに加え、新しいPAやスマートICを一体的に生かすことで、多くの利用者を呼び込み、交流人口の増加や地場産品の販路拡大につなげたい考えです。
計画では、
- 交通連結拠点機能
- 休憩機能
- 情報発信機能
- 地域連携機能
- 防災拠点機能
という5つの機能が想定されています。
いわゆる「ドライブ途中に立ち寄る道の駅」だけでなく、公共交通との接続や地域情報の発信、地域産品の販売、災害時の拠点など、北部地区の中心的な施設になることを視野に入れた構想です。
なお、2026年6月26日時点の市の公表情報では、道の駅の開業時期は明らかになっていません。
道路ができるからこそ進む「産業拠点」の計画
北部地域では、交通施設だけではなく、その周辺の土地利用も大きく変わろうとしています。
八潮市が掲げているまちづくりの目標は、「生活環境や教育環境などに配慮した緑豊かな産業拠点づくり」です。住宅や小中学校、農地など既存の環境に配慮しながら、交通利便性を生かした産業施設などの誘致を目指しています。
その具体化に向け、八潮市は2025年3月31日、三菱商事都市開発株式会社とパートナー協定を締結しました。
流通業務施設やモノづくり施設などの立地を進めるとともに、地元住民の生活満足度向上や地域課題の解決にもつながるまちづくりを進める方針です。
道路整備と企業誘致を別々に進めるのではなく、交通アクセスの向上そのものを地域開発につなげようとしていることが、この計画の大きなポイントです。
そして将来は、東埼玉道路を走る「BRT」構想も

東京BRT © TOKYO BRT 参考
さらに興味深い動きがあります。
2026年5月29日、八潮市は「東埼玉道路沿線地域におけるBRTなど新たな交通システムの導入構想」を公表しました。
構想では、東埼玉道路に自動運転専用道路を整備し、BRTなどの新しい交通システムやパーク&ライドを導入した場合の効果や将来像が検討されています。今後はバス事業者などの関係機関と調整しながら、実現に向けた検証を進めるとしています。
つまり東埼玉道路は、車のための道路としてだけではなく、将来的には八潮から埼玉県東部を南北に移動する新たな公共交通の軸として活用される可能性も出てきました。
ただし、現段階ではあくまで「導入構想」です。BRTの整備や運行開始が決定しているわけではなく、実現時期についても確認できません。
約17.6キロの道路整備と、八潮のまちづくりが一本につながる
こうして並べてみると、八潮市の北部で進んでいるものは、単独の開発事業ではないことが分かります。
八潮から春日部まで約17.6キロメートルを結ぶ東埼玉道路。
そのうち八潮~松伏間約9.5キロメートルでは自動車専用部の事業が進行し、その起点となる八潮側では、外環PA、スマートIC、アクセス道路、道の駅、産業拠点が集中的に計画されています。
さらに、その東埼玉道路を使ったBRTなどの新交通システムまで検討が始まっています。
道路ができる。
インターチェンジができる。
人が立ち寄る場所が生まれる。
企業が進出し、働く場所が増える。
そして、その道路を公共交通にも活用する――。
これまで個別に見えていた計画が、少しずつひとつの「北部拠点」という形につながり始めています。
もちろん、すべての事業の完成時期が決まっているわけではありません。東埼玉道路の自動車専用部も、道の駅も、BRT構想も、今後の調整や事業進捗を見守る必要があります。
一方で、国土交通省による東埼玉道路の工事、NEXCO東日本によるPA整備、八潮市によるスマートIC関連事業、民間企業を交えた産業拠点づくりが、それぞれ実際に動き始めているのも事実です。
「八潮の北のほうで、いろいろ工事をしている」。
今はそんな印象を持っている方も多いかもしれません。
しかし、その工事の先には、八潮市の北側の玄関口そのものをつくり直すような、大きなまちづくりが描かれています。
数年後、さらにその先、この場所の景色や車の流れ、人の動きがどのように変わっていくのか。八潮市の将来を考えるうえでも、今後を追いかけていきたいプロジェクトです。
情報確認日:2026年8月27日
主な出典・公表日
国土交通省 関東地方整備局 北首都国道事務所「国道4号東埼玉道路」
国土交通省 関東地方整備局「令和8年度 埼玉県における事業計画(R8.3)」2026年3月11日付
八潮市「(仮称)道の駅やしおの推進について」2026年6月26日更新
八潮市「東埼玉道路沿線地域におけるBRTなど新たな交通システムの導入構想」2026年5月29日更新
八潮市「パーキングエリア整備」2025年11月28日更新
八潮市「スマートインターチェンジ整備」2025年11月28日更新
八潮市「八潮市北部拠点まちづくり推進地区の開発に関するパートナー協定」2025年4月7日更新
<Hacchinさん>
「やしおん」運営代表。ずっと八潮の人。30年近くネットの世界にいます。長年ベンチャー企業でエンタメ業界や株式公開など、色々ともまれまして、現在本職は小さなゲーム会社の管理部長。BBQインストラクター資格。とある町会役員。













