PC提供から「働く」を支える取り組みへ 生成AIを活用した新たな職域づくり、今後はカリキュラムを共同開発

八潮市に本社を構えるBTOパソコンメーカー「株式会社サイコム」が、生成AIを活用した障害者の就労支援に取り組み始めています。
障害者の就労支援事業などを展開する株式会社ePARA(埼玉県戸田市)は2026年8月7日、サイコムの協力による「生成AI動画制作講座」を実施したと発表しました。
これまで両社は、ePARAが取り組むバリアフリーeスポーツを通じて関係を築いてきました。サイコムはゲーミングPCなどの機材提供やイベントへの協賛を続けてきましたが、今回の取り組みでは、そこからさらに一歩踏み込み、「働くためのスキル」を支える分野へと協力の幅を広げています。
サイコムのAIクリエイターがオンラインで動画制作を指導
今回の講座で講師を務めたのは、サイコムの「AI Creative Div.」に所属するAIクリエイティブ・ディレクター、来夢ライト(らいむらいと)氏です。
来夢ライト氏は、「カイコクAI動画CMコンテスト」で最優秀賞、「World AI Film Festival 2026 in KYOTO」で審査員賞を受賞するなど、生成AIを活用した映像制作の分野で活動しています。
講座にはePARA社員のJeniさんが参加。オンラインで生成AIによる動画制作の基礎を学び、実際の作品制作まで取り組みました。
生成AIを活用することで、従来の映像制作と比べて身体的な負荷を抑えながら制作できる場面もあります。こうした特性を生かし、障害のある方にとって新しい仕事やクリエイティブ分野への入口を広げていこうというのが、今回の取り組みです。
講座で学んだ技術が、早くも“実践の場”へ
今回の講座は、学んで終わりではありませんでした。
Jeniさんが制作した「地域の名産品を紹介する動画」は、2026年7月11日・12日に岩手県八幡平市・安比高原で開催されたバリアフリーeスポーツイベント「ハチエフ26」の会場で実際に上映されました。
講座で身につけた技術が作品となり、その作品がイベントを訪れた人たちに岩手の食の魅力を伝える――。すでに実践につながっているところも、この取り組みの興味深いポイントです。
なお「ハチエフ26」でもサイコムは協賛企業として参加し、会場の対戦環境を支えるゲーミングPCを提供しています。
「一度限り」で終わらせず、実際の仕事につながる仕組みへ
サイコムの河野孝史代表取締役は今回の取り組みについて、生成AIが、身体的・技術的な理由からこれまで動画制作に取り組むことが難しかった人にも新たな可能性を広げる技術だとコメントしています。
さらに重要なのは、この講座を単発の企画として終わらせないことです。
サイコムとePARAは今後、今回の実践をもとに、障害のある方を対象とした生成AI動画制作講座のカリキュラムを共同で開発する予定です。スキルを学ぶだけではなく、その先にある「仕事」や「活躍の場」までつなげられる仕組みを目指します。
講師を務めた来夢ライト氏も、Jeniさんについて、基礎を理解してから自ら次の表現へ挑戦し、完成した作品は講座で教えた範囲を超えていたと評価しています。
八潮発の技術が、新しい「働き方」を支える力に
サイコムといえば、自分の用途に合わせて構成を選べるBTOパソコンメーカーとしてご存じの方も多いかもしれません。
そのサイコムが今、ハードウェアを提供するだけでなく、生成AIを使った映像制作や教育といった領域にも活動の幅を広げています。
これまではeスポーツを楽しむための環境を支え、今回は生成AIを通じて「働く」ことへの選択肢を広げる。八潮市に本社を置く企業の技術やノウハウが、誰かの新しい挑戦につながっていく取り組みです。
生成AIという新しい技術が、どんな仕事を生み出し、どんな人の可能性を広げていくのか。サイコムとePARAによる今回の講座は、その一つの形を示す第一歩になりそうです。
<Hacchinさん>
「やしおん」運営代表。ずっと八潮の人。30年近くネットの世界にいます。長年ベンチャー企業でエンタメ業界や株式公開など、色々ともまれまして、現在本職は小さなゲーム会社の管理部長。BBQインストラクター資格。とある町会役員。














