コンニャク由来の模擬臓器「VTT」で手術トレーニングを革新 地域発ベンチャーを後押し

八潮市発の医療系ベンチャーに、地域の期待が集まっています。
ミライドア株式会社は2026年3月24日、埼玉県や株式会社日本政策金融公庫と連携して設立した「埼玉県渋沢MIXイノベーション創出支援ファンド」を通じ、八潮市のKOTOBUKI Medical株式会社への投資を実行したと発表しました。
今回の投資は、地域発の技術や企業を育てる取り組みの一環。特に、医療分野で独自の製品開発を進めてきた同社の将来性に期待が寄せられています。

コンニャクから生まれた革新的な医療トレーニング素材

KOTOBUKI Medicalが開発したのは、「VTT(Versatile Training Tissue)」と呼ばれる医療トレーニング用の模擬臓器です。
主成分はコンニャク粉。約4年の歳月をかけて開発されたこの素材は、人体組織に近い触感や強度、伸縮性を持ちながら、高温にも耐えられるという特徴があります。
電気メスや超音波メスといったエネルギーデバイスの使用はもちろん、鉗子操作や縫合といった実践的な手技にも対応。さらに、常温での長期保存が可能で、使用後は一般ごみとして廃棄できるなど、現場での扱いやすさも兼ね備えています。
医療現場の課題に応える“リアルな練習環境”

近年、医療の現場では患者の負担を軽減する低侵襲手術が増加しています。一方で、実際の手術機会が限られることで、若手医師のトレーニング不足が課題となっています。また、動物を使った実習の制限もあり、代替手段の必要性が高まっています。
そうした中で、VTTは「より現実に近い環境で安全に練習できる」新たな選択肢として注目されています。リアルさと利便性を両立したこの素材は、医療技術の向上に貢献する存在として期待されています。
八潮発、“ものづくりの街”を象徴する存在へ
KOTOBUKI Medicalは2018年に設立。本社は八潮市中央四丁目にあります。
町工場の流れをくむ“ものづくりマインド”を大切にしながら、医療現場の声に向き合い続けてきた企業です。
その実績は高く評価されており、テレビ東京の人気番組「出没!アド街ック天国」では、“モノづくりの街・八潮”を象徴する企業として1位に紹介。さらに、埼玉県主催の令和7年度「埼玉グローバル賞」では「世界への挑戦」部門を受賞するなど、地域内外で存在感を高めています。
地域から世界へ 成長を支える投資の役割
今回投資を行った「埼玉県渋沢MIXイノベーション創出支援ファンド」は、創業期や事業承継に課題を抱える企業を支援し、地域産業の発展と新たなイノベーション創出を目的としたものです。
ミライドアは、地域のベンチャー企業を支援するための「地方創生ファンド」、事業会社のオープンイノベーションを促進するための「CVCファンド」、特定の投資領域を掲げ、業界の活性化を支援する「テーマ型ファンド」に取り組んでいます。また、資金提供にとどまらず、事業育成や人材育成、コンサルティングなど多面的な支援を行っており、長期的な成長を後押ししていく方針です。

八潮市から生まれた技術が、医療の未来を変えていく可能性を秘めています。
地域に根ざした企業が世界へと挑戦していく――その一歩を後押しする今回の投資は、八潮のものづくりの新たなステージを感じさせるニュースといえそうです。














