本格復旧は5~7年・総額300億円規模へ 県は補償費62億円超を計上し段階的に復旧を進める
埼玉県八潮市で1月に発生した県道の陥没事故を受け、県は10月1日午前0時より現場周辺の交通規制の一部を解除しました。事故以来、約8か月ぶりに歩行者や地域住民が往来できるようになり、住民からは期待の声が上がっています。緩和されたルートは先日お伝えしました、▶「交通規制の一部緩和」に記載されています。
県下水道事業課によると、今回解除されたのは現場南側の市道約150メートルと、現場西側にある県道松戸草加線の一部歩道です。車道については引き続き工事用道路として利用されるため通行止めが続き、横断の際は近くの横断歩道を利用するよう呼びかけています。
一方で、事故の原因となった下水道管の腐食による被害は大きく、現在も管内部に入り込んだ土砂や破損コンクリート片の撤去作業が進められています。県は今年12月頃までに下水道の仮復旧を完了させ、令和8年3月頃には道路の埋め戻しと片側1車線での通行再開を目指すとしています。しかし、本格的な復旧には複線化などを含め5~7年、総額で約300億円が必要と見込まれています。
さらに、9月定例県議会では、道路陥没事故に伴う補償費用など62億8千万円を盛り込んだ▶流域下水道事業会計補正予算案が全会一致で可決されました。内訳には、通行規制で休業や売り上げが減少した店舗への補償費7億8千万円や、国の調査で「緊急度Ⅰ」と判断された下水道管の工事費55億円が含まれています。
県内では、さいたま市や戸田市、富士見市、越谷市、八潮市など県管理の3.5キロ、市町村管理の0.9キロ、計4.4キロの下水道管について原則1年以内の対策が必要とされています。県はコンクリートや樹脂による補強工事を進め、再発防止に取り組む方針です。
今回の交通規制緩和は小さな一歩ではありますが、地域の利便性回復に向けた前進となりました。今後も段階的な規制解除と並行して、長期にわたる本格復旧への取り組みが続けられます。