52年の歴史に幕を閉じる旧庁舎、市民による感謝と思い出のメッセージ
1971年(昭和46年)に完成して以来、埼玉県八潮市の中心として機能してきた旧庁舎が、ついにその長い歴史に幕を下ろしました。
昨年末に閉庁したこの建物は、市民にとって多くの記憶と絆を築いた場所であり、27日には感謝と別れを告げる特別なイベントが行われました。
この日、参加した市民の方々は、解体前の最後の機会として、旧庁舎内を見学しました。
壁や窓ガラス、机やショーケースには、感謝のメッセージを刻んでいきました。たくさんの感謝の言葉が、建物の隅々に記されていました。
旧庁舎は、2011年の東日本大震災の際に外壁タイルの一部が崩落するなど、耐震性の問題がその当時から指摘され、新庁舎の建設計画がスタート。昨年10月には新しい庁舎が完成、今年1月から供用が開始されました。
市は昨年12月から、旧庁舎の1階ロビーにお別れメッセージ記入ブースを設置。そこで市民たちは、建物に対する感謝や思い出を書き留めていきました。
この日は旧庁舎に入れる最後の機会となり、多くの市民が午前9時の受付開始と同時に訪れていました。改めて庁内を拝見しましたが、天井や床タイルなど、やはり老朽化が激しいことがわかります。天井からせり出した蛍光灯など、やはり時代を感じます。
建築工事の開始を記念して建物の安泰を祈るために行われる「定礎式」で設置された定礎石。昭和46年は、まだ「八潮町」でした。
普段は立ち入ることのできなかった市長室や議長室、市議会議場も公開され、市民は熱心に見学しました。背の高い議長席というのも時代を感じさせます。これらの部屋は、市の運営において重要な役割を果たしてきた場所であり、市にとって特別な意味を持っていました。
屋上にある格子状の設備も、役所のシンボル的なものでしたが、やはりかなりの老朽化がうかがえます。
八潮市公共施設整備課によると、旧庁舎の解体工事は2月から始まる予定です。
この建物がなくなることで、新たな歴史が始まりますが、旧庁舎が市民の心の中に遺した思い出は、永遠に色あせることはありません。このイベントは、市民一人ひとりの心に深く刻まれ、八潮市の新しい章が始まるにあたって、過去を讃える機会となりました。