足立区・八潮市を拠点に“懐かしのお菓子”を届け続ける
木曽根にある三黒製菓株式会社 埼玉工場
みなさんは「三黒製菓」をご存じでしょうか。
八潮市で2ヶ月に1回、工場直売会を継続的に開催されており、以前放送された「出没!アド街ック天国」埼玉八潮編でも取り上げられたのは記憶に新しいところですが、この「三黒製菓」さんに先日お伺いすることができました。
東京都足立区と埼玉県八潮市に拠点を構える「三黒製菓株式会社」。八潮の社屋は新しい印象なのですが、実は昭和24(1949)年創業の老舗菓子メーカーです。
看板商品である「鈴カステラ」や「ジャムサンドクラッカー」は、素朴ながらどこか懐かしい味わいで、長年にわたり多くの人々に親しまれています。
本社は足立区千住に位置し、製造工場は八潮市木曽根にあります。製造から販売までを手がけるほか、OEM事業にも取り組み、全国の菓子市場にもその技術を提供しています。従業員は約40名。地域密着型の経営をモットーに、昔ながらのお菓子作りの技術と心を今に伝えています。
創業のルーツと社名の由来
当時の三黒製菓の広告 「スイーツランドあだち」より 当時は花付ヨーチや甘納豆、クリームサンドやジャムサンドが主力製品だったことがわかります。
三黒製菓は、現社長・黒川慶一氏の祖父とその兄弟3人が立ち上げた菓子製造業をルーツとしています。1950年に3兄弟がそれぞれ独立し、それぞれ菓子製造等を行なっていましたが、この3社ががっちりと手を組み、現在の三黒製菓が誕生しました。
社名「三黒」は、「3人の黒川兄弟」に由来しており、その歴史と誇りが社名に込められています。
三社は戦後、縁あって足立区千住エリアを拠点としスタート。のちに「三黒製菓」となり、菓子製造の街である足立区の代表的な菓子メーカーとなっていきます。
「三黒製菓」の歴史については、昭和34年に発刊された「東京都二三区菓子製造問屋図鑑」や、平成27年度に足立区立郷土博物館から発刊された「スイーツランドあだち~東京東部のお菓子づくり~」で読み解くことができます。現在も足立区立郷土博物館で関連資料等が展示されているようです。八潮からもほど近いところにありますので、是非機会があればご覧になってください。
足立区立郷土博物館
看板商品「鈴カステラ」と「ジャムサンドクラッカー」
三黒製菓の代表製品「鈴かすてら」
鈴カステラ
三黒製菓を代表する「鈴カステラ」は、一口サイズのふんわりとしたカステラをグラニュー糖でコーティングしたお菓子です。卵、砂糖、蜂蜜、小麦粉をベースにした生地は、熟練の職人による絶妙な焼き加減で仕上げられ、しっとりとした食感と優しい甘さが楽しめます。
世代を超えて愛される味わいは、おやつやティータイムのお供にぴったりです。製造の様子を少しだけご紹介します。※現在一般の方の工場見学はおこなっておりません。
鈴カステラの選別の様子。形や焼き加減などがチェックされ、出荷されていきます。
鈴カステラの原料の製造。ちょうどホットケーキの材料のような感じ。
この長いオーブンでゆっくりと焼き上げられます。
焼き上がり直後の鈴カステラ。甘く香ばしい香りが漂ってきます。工場内は徹底した衛生管理がおこなわれております。
ジャムサンドクラッカー
もうひとつの名品「ジャムサンドクラッカー」は、温めたジャムをクラッカーでサンドした素朴なお菓子。使用するジャムは、いちご・りんご・あんずなどのバリエーションがあり、それぞれ異なる風味が楽しめます。
現在、日本国内でこの「ジャムサンドクラッカー」を製造しているのは三黒製菓だけとも言われており、非常に希少なお菓子のひとつです。
こちらがクラッカーに挟まれる前のジャムの製造の様子。
側になるクラッカーがどんどんと焼きあがってきます。
こちらがサンドされたクラック―。すごい数です。
地域とのつながり――工場直売会
以前におこなわれた工場直売会の様子
三黒製菓は地域とのつながりを大切にしており、八潮工場では偶数月の最終日曜日に「工場直売会」を開催しています。
「当社は製造メーカーの為、基本的なビジネスは対企業との「B to B」がメインなのですが、やはり消費者の方の声を聴いてみたいというところからスタートしたのが、工場直売会です。」と黒川社長。
直売会では、工場で製造されたお菓子をお得に購入できる機会として、地元住民やファンから大変好評を博しています。直売会ではキャッシュレス決済（PayPay）にも対応しており、利便性にも配慮されています。
メディアにも取り上げられる機会も多く、開催時にはたくさんの方が詰めかけています。最近では同社だけでなく、複数のお店や企業も出店するようになり、にぎわいを見せています。
直売会のスケジュールは公式サイトやSNSで随時案内されているため、足を運んでみてはいかがでしょうか。
伝統を守りつつ、未来へ
「懐かしさ」と「職人技」を大切にする三黒製菓は、時代のニーズにも応える柔軟さを持ち合わせています。製品の品質向上や新たな商品開発、販路の拡大を図りつつ、変わらぬ味を未来の世代にも届けていく意欲にあふれています。
地域に根ざし、全国へ――これからも三黒製菓の挑戦は続きます。黒川社長、お時間を頂戴いたしまして、ありがとうございました。
【公式サイト】 https://www.microseika.com
<Hacchinさん>
「やしおん」運営代表。ずっと八潮の人。30年近くネットの世界にいます。
長年ベンチャー企業でデジタルコンテンツやエンタメ業界や株式公開など色々と荒波にもまれてきました。現在本職は小さなゲーム会社の管理部長。
BBQインストラクター資格。
