女性事務職は完全週休2日制、男性職員は1日約1.5時間短縮 IT活用で生産性と働きやすさを両立

埼玉県八潮市に本社を構える株式会社松伸が、建設業界では珍しい“実質賃上げ型”の働き方改革に踏み出しました。2026年4月1日から、女性事務職の完全週休2日制導入と、男性職員の労働時間短縮を同時に実施しています。
建設業界といえば、長時間労働や休日の少なさが長年の課題とされてきました。2024年から時間外労働の上限規制が適用されるなど、改善の流れはあるものの、現場の実態としては依然として厳しい状況が続いています。
そうした中で同社は、「人を増やさず、給与も下げずに働き方を改善できないか」という視点から、今回の取り組みをスタートしました。
女性は完全週休2日制へ、男性は1日1.5時間の時短

建築業を取り巻く現状と課題―国土交通省 https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/ccus_background.pdf
今回の改革は、現場施工職を除く正社員を対象に実施されています。
女性事務職では、これまで月に2〜3回あった土曜出勤を廃止し、完全週休2日制へ移行。さらに勤務時間も15分短縮され、年間で約240〜300時間の労働時間削減が見込まれています。
一方、事務や番頭業務を担う男性職員については、1日の勤務時間を約1.5時間短縮。年間では約360時間の削減となる見込みで、日々の働き方が大きく変わる内容です。
労働時間を減らしながら給与を維持するこの仕組みは、実質的な賃上げともいえる取り組みであり、企業にとってはコスト増というハードルも伴います。
IT教育と業務改革で「時間短縮」を実現

ITスキル受講風景
今回の改革の大きなポイントは、単なる制度導入にとどまらない点にあります。
同社では2025年から、女性事務職を対象にeラーニングによるITスキル教育を実施。Excelやクラウドツールの活用、データ管理の効率化など、実務に直結する内容を中心にスキル向上を図ってきました。
あわせて、業務の属人化を防ぐための情報共有体制の整備や、土曜休業に対応する現場フローの見直しも進めています。問い合わせ窓口の明確化や対応ルールの統一など、誰でも対応できる仕組みづくりを徹底しました。
こうした準備を重ねたうえでの制度導入により、「現場を止めずに働き方を変える」という難題に挑んでいます。
離職率4%以下を支える“人を大切にする経営”
同社の特徴は、こうした改革だけではありません。2026年3月時点で離職率4%以下という高い定着率を維持している点も注目されています。
背景には、社員の将来や健康を見据えた制度の充実があります。
たとえば、30年勤続で1,000万円を支給する退職金制度や、家族も対象とした医療サポート、企業型確定拠出年金による資産形成支援など、長く安心して働ける環境づくりが進められています。
「建設業だからこそ変える」現場発の挑戦

代表取締役社長 長田 哲也氏
代表取締役社長の長田哲也氏は、「建設業だから難しいのではなく、建設業だからこそやり方を変えるべき」と語ります。
現場を支えるバックオフィスから改革を進めることで、業界の常識にとらわれない働き方を実現し、誰もが無理なく長く働き続けられる環境を目指しているとのことです。
人手不足や高齢化が進む建設業界において、今回の取り組みはひとつのモデルケースとなる可能性があります。地域企業から始まる変化が、業界全体にどう広がっていくのか、今後の動きにも注目が集まりそうです。
■会社概要
社名:株式会社松伸
所在地:埼玉県八潮市大瀬236-1
創立:1974年4月
資本金:1,000万円
代表:代表取締役会長 松本美幸/代表取締役社長 長田哲也
事業内容:鉄筋工事一式請負、とび・土工工事業
許可:国土交通大臣許可(般-7)第27847号
公式サイト:https://www.matsushin.co.jp/
株式会社松伸は、材料発注・加工・施工・運搬までを一貫して手がける総合鉄筋ソリューション企業です。確かな施工品質に加え、安全管理や現場美化、近隣住民との関係づくりまで含めた“現場力”を強みとしています。
日給制が主流の業界において早期から月給制や福利厚生制度を導入するなど、「働く人の未来」を見据えた経営を実践してきた同社。今回の働き方改革も、その延長線上にある取り組みといえそうです。













