大雨時の市内氾濫が懸念、仮設復旧を急ぐ方針
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県道が陥没しトラックが転落した事故現場。発生から1週間がたった=2月4日午後2時15分(写真:共同通信社)
埼玉県八潮市で発生した県道陥没事故に伴い、市内の主要な雨水管が破断し、排水機能が大きく損なわれていることが明らかになりました。
市は2月26日の定例記者会見で、大雨や台風時に市内の広範囲で浸水被害が発生する恐れがあると発表し、梅雨に向けた仮設復旧や応急対策を急ぐ方針を示したことを、各報道が報じました。
陥没による雨水管破断、広範囲の浸水リスクが浮上
問題となっているのは、市北部から市南部の垳川へとつながる主要な雨水管「大正第一幹線」。この雨水管は幅・高さともに2.1メートルのコンクリート製ボックス型水路で、1月28日の陥没事故によって宙づりとなり、30日に崩落しました。これにより、市全体の排水能力が大幅に低下し、大雨時には広範囲で内水氾濫が発生する危険性が高まっています。
これまで市内の排水機能は、1時間あたり約47ミリの降雨に耐えられる設計でした。しかし、雨水管の損壊により排水機能が大きく低下し、梅雨や台風時には、市内の低地を中心に浸水リスクが高まると懸念されています。
市が応急対応を実施、梅雨前に仮設復旧を目指す
八潮市は現在、県や国と協議を進めながら、仮設の雨水管を設置し、別の雨水幹線へと排水を分流させる応急措置を検討しています。また、市独自の対応としてバイパス管を新たに整備し、上流部からポンプで水をくみ上げることで、浸水被害の軽減を図っています。
大山市長は会見で「雨水管が寸断された状況で大雨が降れば、内水氾濫が発生する可能性が高い。雨が降る前に応急復旧、仮復旧を進めたい」と述べました。
下水道の緊急点検を実施、現時点で異常なし
一方、市は陥没事故を受けて、今月17日から市内231カ所のマンホールを対象とした下水道の緊急点検を開始。26日には報道陣に作業の様子を公開し、作業員が地下約8メートルにある下水道の壁面のひび割れや堆積物の有無、硫化水素ガスの濃度を測定しました。
市によると、緊急点検は3月末までに終了し、結果を公表する予定です。
復旧費用の対応は補正予算で検討、県との協議も
また、市は2025年度当初予算案には陥没事故の関連経費を計上せず、2024年度中は予備費で対応し、2025年度は補正予算での対応を検討しています。
予備費は避難所の運営費や職員の人件費に充てられる予定で、市長は「県と費用負担について協議していきたい」との考えを示しました。
八潮市では、主要な水道管やガス管、通信ケーブルなども陥没地点に埋設されていたため、復旧には時間を要するとみられています。市は今後も応急対策を進めながら、市民の安全確保に努めていく方針です。