プライバシー確保と住環境改善へ、新たな支援体制を構築

八潮市公式サイトより
八潮市は2月4日、国内外での大規模災害発生時に被災者支援を行うNPO法人「ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク」(東京都世田谷区、坂茂代表理事)と、「災害時における避難所用間仕切りシステムの供給に関する協定」を締結しました。
この協定により、市は地震や風水害などの大規模災害発生時に、避難所用の間仕切りシステムや段ボール製簡易ベッドの提供を受けることができるようになります。間仕切りは1区画2メートル×2メートルの広さがあり、連結も可能です。着替えや休息時のプライバシーを確保しやすくなり、避難所の環境改善が期待されています。
協定締結式では、坂代表理事が「家族構成に応じて自由に組み合わせることができ、避難者のプライバシーを守ることができます」と強調しました。
今回の協定は、昨年発生した能登半島地震をきっかけに進められました。2025年1月末に市内で発生した陥没事故の影響で協定の延期も検討されましたが、「こうした時期だからこそ締結し、支援体制を強化すべき」と市が判断し、坂代表理事もその意向に賛同したことで、協定が実現しました。
今後、市は災害時の円滑な物資供給に向けて、具体的な運用方法の調整を進めていく方針です。
ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(Voluntary Architects’ Network、略称VAN)は、建築家・坂茂氏が1995年に設立し、2013年に特定非営利活動法人(NPO法人)として認証された団体です。
主な目的は、国内外で大規模災害が発生した際に、被災者の住環境支援や防災・減災意識の啓発活動を行い、震災被害からの円滑な復旧・復興、そして災害時の被害最小化に寄与することです。
VANは、紙管と布を用いた「紙の間仕切りシステム(Paper Partition System、PPS)」や段ボール製の簡易ベッドなど、簡易かつ効果的な避難所用設備を開発・提供しています。これらのシステムは、被災者のプライバシー確保や快適な避難生活の支援を目的としています。2024年1月に発生した令和6年能登半島地震の際には、石川県金沢市の避難所にPPSと段ボールベッドを設置し、被災者の生活環境改善に貢献しました。
VANの活動は、建築の専門知識を活かした災害支援として高く評価されており、被災地の復興や被災者の生活支援において重要な役割を果たしています。