埼玉県が12市町への排水抑制要請を解除、老朽化対策の重要性も議論に
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埼玉県八潮市で発生した大規模な道路陥没事故を受け、県は12日、関係する12の市と町に対して要請していた下水道の排水抑制を解除しました。
これは、事故発生以来進められてきた対策により、下水道管に流れ込む汚水の量が安定したための措置とされています。一方で、安否不明となっている男性の捜索に向け、下水道管の迂回工事が引き続き行われる予定です。
八潮市では、正午の時点で防災行政無線を通じて下水制限解除の旨のアナウンスが流れ、市民に通知されました。県によると、排水抑制の解除後もバイパス運用により穴の中の水位は大きく変動していないとのことです。
埼玉県の大野知事は同日の記者会見で、「県としてできる限りの対応を検討し、バイパス工事の完成を3か月以内に目指している。一刻も早く運転席部分にアクセスし、捜索を進めたい」と強調しました。また、排水抑制解除については、「解除後も水位の急激な上昇は見られないが、今後の大雨や工事の進捗によっては再度自粛をお願いする可能性もある」と述べ、状況に応じた対応の必要性を示しました。
一方で、排水抑制による企業活動への影響について、「企業の皆様には多大なご協力をいただき感謝している。ただし、要請は可能な範囲でお願いしており、補償については考えていない」との見解を示しました。
また、政府は2026年度から始まる「国土強靱化次期5カ年計画」において、社会インフラの耐震化と老朽化対策を強化する方針を示しました。特に、今回の八潮市での下水道管破損による道路陥没事故を事例に挙げ、上下水道の老朽化対策の重要性を強調。国土交通省は、上下水道システムの中でも「急所施設」に重点を置いた耐震化を進める考えを示しており、これは能登半島地震での被害を教訓としたものです。
八潮市での事故をきっかけに、全国的なインフラの老朽化対策がさらに進むことが期待されます。今後も、復旧工事の進捗や安全対策の強化に向けた取り組みに注目が集まります。