復旧には今後も5~7年の見通し 上流側の下水道管複線化は2026年度中の着手を目指す

八潮市 道路陥没事故現場の当時の様子
2025年1月28日、八潮市中央一丁目の県道松戸草加線で発生した大規模な道路陥没事故から、2026年7月28日で1年半を迎えました。
この事故では、走行中のトラックが陥没した道路に転落し、運転していた男性が亡くなりました。現場周辺では長期間にわたって交通規制や復旧工事が続き、地域住民や事業者の日常にも大きな影響を及ぼしました。
事故から1年半となった7月28日の定例記者会見で、埼玉県の大野元裕知事は、亡くなった男性へのお悔やみと遺族、関係者へのお見舞いを改めて表明。地元住民に迷惑や不便をかけてきたとして謝罪するとともに、工事への理解と協力に感謝を述べました。
事故の教訓を受け、下水道に関する法律を改正
大野知事が今回の会見で触れたのが、八潮市の事故などを背景として成立した改正下水道法です。
改正法には、下水道施設の安全性を評価する診断基準の法制化をはじめ、診断結果など維持管理状況の公表、計画的な改築、道路管理者との連携強化などが盛り込まれています。下水道管を複線化するなど、点検や修繕、事故発生時の応急対応を行いやすい構造とする考え方も示されました。
大野知事は、改正法の成立について「まだまだ不十分だが、半歩前進」と評価しています。
その背景には、大規模な下水道管をどのように点検し、更新していくのかという技術的な問題に加え、膨大な費用を国や自治体、利用者などがどのように負担するのか、十分なルールが整っていない現状があります。
法律ができたことで安全対策の方向性は一歩進みましたが、老朽化したインフラを実際に維持し、更新し続けるための仕組みづくりは、これからが本番ともいえます。
暫定2車線で通行再開、本格復旧はこれから

事故現場では、2026年2月中旬に破損した下水道管の復旧が完了し、4月15日には県道松戸草加線の暫定2車線での通行が始まりました。
現在は、仮排水管を撤去するための掘削や、復旧した下水道管周辺の埋め戻しなどが進められています。さらに、2026年11月には八潮市が管理する雨水管「大正幹線」の本復旧に向けた工事へ着手し、その後、ほかの地下インフラや道路の復旧へ移る計画です。
道路が再び通れるようになったことは、地域にとって大きな節目でした。しかし、現場では今も工事が続いており、事故前と同じ状態を取り戻したわけではありません。
上流側の複線化、2026年度中の着手へ
再発防止と下水道の強靱化に向けた重要な取り組みが、下水道管の複線化です。
県は、陥没現場から上流側を第Ⅰ期、下流側を第Ⅱ期に分けて整備する計画を進めています。このうち第Ⅰ期工事については、2026年度中の着手を目指して、現在設計が行われています。
下水道管を複数の系統に分けることで、一方に不具合が起きた場合でも排水機能を保ちやすくなり、点検や補修も進めやすくなります。一方で、地下には水道やガス、通信設備などさまざまなインフラが通っているため、工事には慎重な調整と長い期間が必要です。
本格復旧や複線化を含む一連の工事には、今後5年から7年ほどかかる見通しが示されています。
「1年半」は通過点 地域の安全をどう守るか
事故から1年半。現場周辺では暫定的に道路が通行できるようになり、復旧は少しずつ前へ進んでいます。その一方で、工事の完了までには、まだ長い時間が必要です。
大野知事は会見で、復旧工事を進めるだけでなく、下水道の強靱化を図り、事故から得られた教訓を全国へ発信する責任を果たしていく考えを示しました。
八潮市で起きた事故は、普段は目に見えない地下インフラが、私たちの暮らしを支える大切な基盤であることを改めて突きつけました。法律の改正を「半歩前進」で終わらせず、事故の教訓を現場の安全へどう結びつけていくのか。地域に暮らす人たちにとっても、これからの復旧と再発防止策を見守っていく長い歩みが続きます。
参考:埼玉県・令和8年7月28日知事記者会見、国土交通省・下水道法等の一部を改正する法律案
<Hacchinさん>
「やしおん」運営代表。ずっと八潮の人。30年近くネットの世界にいます。長年ベンチャー企業でエンタメ業界や株式公開など、色々ともまれまして、現在本職は小さなゲーム会社の管理部長。BBQインストラクター資格。とある町会役員。













