八潮の陥没教訓に下水道対策強化 埼玉県26年度予算案過去最大

一般会計2兆4348億円、2年連続で更新 DXや医療人材確保にも重点

埼玉県庁

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埼玉県は2月12日、2026年度の当初予算案を発表しました。一般会計の総額は2兆4348億6500万円で、前年度比9.1%増。2年連続で過去最大を更新しました。物価高や税収増を背景に規模が拡大する中、昨年1月に八潮市で発生した県道の道路陥没事故を教訓に、下水道の点検・保全や災害対策の強化に大きくかじを切ります。

予算案は19日に開会する2月定例県議会に提出されます。

八潮の陥没受け、下水道に300億円

今回の予算で特に注目されるのが、下水道施設の保全と災害対策の強化です。関連事業に約300億円を計上しました。

八潮市で起きた道路陥没事故を受け、県は下水管の複線化に着手します。老朽化した大口径の管路は、事故が起きた場合に修繕が難しいという課題があります。新たに管をもう1本設けることで、維持管理をしやすくし、同様の事故を未然に防ぐ狙いです。

陥没現場周辺では2026年度から工事が始まり、まずは10億円を充てます。さらに27〜29年度にかけて170億円規模の事業を見込んでいます。加えて、全国特別重点調査で対策が必要と判明した下水管の改築費として32億円を盛り込みました。

住民や事業者への補償費も追加計上され、関連する工事費や補償費の総額は約306億円に膨らむ見通しです。

また、上下水道や通信ケーブルなど地下インフラを一元管理するデータベース化にも新たに取り組みます。災害時に迅速な情報共有を可能にするもので、約1億1000万円を充てます。

八潮市道路陥没事故

当時の八潮市道路陥没事故現場

DXと生成AIで行政サービスを効率化

デジタル戦略の強化も柱の一つです。市町村でDXを担う人材が不足している現状を踏まえ、県職員を「自治体DXアクセラレータ」として派遣し、伴走支援する体制を整えます。

生成AIを活用し、住民からの申請や相談を24時間受け付ける仕組みづくりも進めます。熊谷地方庁舎へのモデルオフィス設置や、川越地方庁舎での「AI窓口」開設など、来庁者の利便性向上にも力を入れます。

大野元裕知事は記者会見で「災害は必ず起こるという前提のもと、あらゆる危機に的確に備えていく」と述べ、持続可能な社会の構築に向けた予算編成であることを強調しました。

医療・看護人材の確保、私学支援も拡充

少子高齢化が進む中、医療体制の強化にも取り組みます。秩父地域の医療提供体制への支援に約3000万円を計上。夜間救急時に専門医へオンラインで相談できる体制を整えます。

慢性的な課題となっている看護師不足対策には約5000万円を充て、新卒看護師の奨学金返還支援や、復職希望者向けの情報ポータルサイト整備を進めます。

私立学校の授業料などを補助する事業には342億円余りを計上し、全日制高校で年収500万円未満の世帯については生徒納付金の無償化を図ります。

歳入は県税過去最高、県債残高は減少見込み

歳入面では、県税収入が9052億円と過去最大を見込みます。個人所得の増加や企業業績の堅調さを背景に、個人県民税や法人二税が増収となる見通しです。

県債発行額は1868億円と増えますが、残高は3兆4889億円と6年連続で減少する見込みです。県民1人あたりの借金額は約47万3000円となります。

八潮市の事故という重い教訓を胸に、インフラの安全確保とデジタル化、そして医療や教育の充実をどう両立させていくのか。2026年度予算案は、埼玉県のこれからの方向性を色濃く映し出す内容となっています。

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