測定値は「健康被害の懸念なし」と説明 一方で悪臭や腐食への不安の声も

ことし1月に八潮市で発生した道路陥没事故を受け、埼玉県は23日、下水道管の破損により発生した硫化水素が健康に与える影響について説明する講演会を市内で開催しました。
会場には事故現場周辺の住民89人が参加し、長引く悪臭や金属の変色などをめぐる不安を共有しました。
講師を務めたのは、埼玉医科大学病院臨床中毒センター長の上條吉人氏。上條氏は硫化水素の性質や濃度による人体への影響を、論文データや中毒学の知見を交えて説明しました。中濃度では肺炎や気管支炎、角結膜炎などの症状が生じる可能性があるとしつつも、県が測定した現場周辺の濃度については「常時の濃度はほぼゼロで、直接的な健康被害はないと考えてよい」と述べました。
一方で、住民からは「貴金属が黒くなっている」「長年育っていた植物が枯れた」「独自測定では高い数値が出た」など、生活環境への影響を懸念する声が相次ぎました。上條氏は、硫化水素には金属腐食性があることを認めつつ、「臭いに対する感受性は人によって異なり、不快感やストレスが健康不安につながるのは理解できる」と説明しました。
さらに上條氏は、今回のように下水道から長期間硫化水素が放出されたケースは例がなく、「必要であれば住民協力のもと、より詳細な調査も検討したい」と述べました。また、腐食や臭気によって生じる精神的ストレスについても「行政が責任を持って丁寧に説明し、相互理解を図るべき」と指摘しました。
事故発生からまもなく10カ月。住民の不安を完全に払拭するには至っておらず、県の今後の調査体制や情報提供の在り方が問われています。
<Hacchinさん>
「やしおん」運営代表。ずっと八潮の人。30年近くネットの世界にいます。長年ベンチャー企業でエンタメ業界や株式公開など色々と荒波にもまれ、現在本職は小さなゲーム会社の管理部長。












