江戸川河川事務所、昨年の台風被害を教訓にウェブ会議で排水機場の状況をリアルタイム通知
国土交通省江戸川河川事務所が6月から、河川の増水時に排水機場の稼働状況を流域自治体にウェブ会議で一括して知らせる新しい仕組みを導入したと、朝日新聞が報じました。
朝日新聞によると、昨年6月の台風2号に伴う埼玉県東部の豪雨で、三郷排水機場で発生したポンプ停止の連絡に時間がかかったことから、電話連絡による情報共有方法を見直したものとのことです。
この新システムでは、大雨の際に随時開かれるウェブ会議に県内外の26自治体が参加し、各自治体の端末に江戸川、中川、綾瀬川などの排水機場の稼働状況を示す図面が表示されます。運転中の排水機場は赤で、停止中のものは緑で示され、一目で確認できるようになっています。八潮市の八潮排水機場も含まれており、地域の防災対策に重要な役割を果たします。
また、水門の開閉状況や主要な水位観測所のデータも同じ画面に表示され、地域の水の状況を一目で把握できるようになっています。事務所側が水位の状況などを併せて説明することで、迅速な情報共有が可能になります。
昨年の豪雨では、ポンプのトラブルや水位の状況などの情報を県や市町の関係者に電話で伝える作業が何度も繰り返され、連絡に時間がかかる問題が明らかになりました。特に、6月2日の三郷排水機場のポンプ停止の連絡には1時間を超える時間を要しました。新システム導入により、こうした課題が解消されることが期待されています。
将来的には、自治体管理の小規模な排水機場や水門の状況も表示できるようにする計画です。自治体と江戸川河川事務所が全体状況を即座に把握し、迅速な対応が可能になることを目指しています。
今回のシステム導入について、他市の担当部長などはウェブ会議での情報提供は歓迎と述べています。事務所は今後も電話での連絡を重要な手段として併用する方針を示し、情報共有に不備がないよう努めるとしています。
昨年のトラブルを教訓に、江戸川河川事務所は排水機場の設備改善も急いでいます。ごみ除去の圧力を高める外付けのポンプ追加や、上水道のきれいな水を冷却水に用いる新設貯水槽の導入を進めており、今年の雨季に間に合うよう対応を急いでいます。これらの対策により、今後の豪雨に対する防災体制がさらに強化される見込みです。