泥まみれに舞う“どろんこ獅子”――江戸時代から続く祈りの舞が7月5日・6日に奉納

大瀬の獅子舞
埼玉県八潮市の大瀬地区で、県指定無形民俗文化財「大瀬の獅子舞」が、2025年7月5日(土)・6日(日)に奉納されます。会場は、大瀬浅間神社と氷川神社。2日間にわたり、伝統の舞が地域の人々の手で丁寧に披露されます。
「大瀬の獅子舞」は、江戸時代に始まったと伝えられ、300年以上の歴史を誇ります。演じられるのは、親子の獅子3匹による“富士登山”を題材にした物語。道中の困難や自然との対峙を、力強く、時にユーモラスに表現します。特徴的なのは、その舞が雨天決行であること。よく雨に見舞われることから、地元では「どろんこ獅子」と呼ばれ、泥まみれになりながらも舞をやめない姿に、豊作や無病息災への祈りが込められています。
舞は「庭(にわ)」と呼ばれる演目ごとに構成されており、各日8庭ほどが奉納されます。舞の所作には、虫追いや田の草取りに似た動きも含まれ、農耕儀礼の意味合いも色濃く残されています。また、舞の合間には、唄や囃子が入り、獅子の動きをより一層引き立てます。
奉納の時間は、両日とも午前10時ごろから午後8時ごろまで。舞の場面は随時進行するため、何度訪れても違った趣が楽しめるのも魅力のひとつです。
神社の境内には露店なども並び、地域のにぎわいを感じながら、どこか懐かしい夏の風景が広がります。歴史と祈りが息づく大瀬の地で、八潮の誇る伝統文化を体感してみてはいかがでしょうか。
- 日時 令和7年7月5日(土曜日)、6日(日曜日)
各日午前10時ごろから午後8時ごろまで - 場所 大瀬浅間・氷川神社(八潮市大瀬1501番地)