旧車を知り尽くしたからこそ辿り着いた答え 3年の歳月が結実した“最後に選ぶ一滴”

産業道路を走っていると、思わず二度見してしまうようなのぼりがあります。それが「八潮汁あります」という、どこか親しみがありながらも正体の分からない一文です。
「やしおん」にも、「飲食店ですか?」「どんな汁なんでしょうか?」といった問い合わせがいくつも寄せられ、気になっていた方も少なくないはずです。
その答えを求めて向かったのは、そののぼりが設置されている、産業道路沿い、ENEOSアボーステーション八潮ロードSSの向かいにある、RZシリーズ専門店「エリア47」。1981年に登場した水冷2ストローク2気筒エンジンを搭載するヤマハRZ250・RZ350。この“往年の名バイク”を専門に扱う、全国的にも珍しいショップです。RZシリーズの他にも希少な旧車がずらりと並びます。

こちらがバイクショップ「エリア47」。産業道路沿いに面したこちらのショップは、皆さん目にしたことがあるかと思います。

こちらが店内。好きな方にはたまらないでしょうね。
オーナーの藤井さんに話を伺うことができました。「八潮汁」の正体は意外にも飲食物ではなく、RZシリーズのために開発された専用ギアオイル。エリア47と八潮市内の石油化学メーカーが共同で開発したギアオイル。まさに“八潮発・八潮産”のプロダクトです。
開発のきっかけは、市内の石油化学メーカーとの出会いから。「RZに本当に合うオイルが欲しい」という、極めてシンプルな想いから、試作と検証の日々が始まりました。
年式を重ねた旧車だからこそ、クラッチの感触やギアの入り、高回転域でのフィーリングは、ほんのわずかな違いが走りの楽しさを大きく左右します。Synthetic Oilと植物油を融合させ、RZ特有のエンジン特性に合わせて配合を調整。クラッチフィール、ギアの噛み合わせ、高回転まで回した際の滑らかさを一つひとつ検証し、その積み重ねに、実に3年の歳月を要しました。

右から、RZ350用、RZ250用、レーシングエディション。350と250はそれぞれ、RZ350とRZ250のカラーリングを施しています。レーシングエディションは、藤井さんの敬愛するショップのイメージをデザイン化したものだそうです。オイルカラーもブルー、レッド、グリーンの3色。
完成した「八潮汁」は、単なる消耗品ではありません。「RZを知る者が最後に選ぶ一滴」を目指し、性能と感性、その両立を徹底的に追求した一本です。旧車を“守る”ためのオイルではなく、“走らせて楽しむ”ためのオイル。その思想が、ブランド名のユーモアとは裏腹に、非常にストイックな製品づくりから伝わってきます。
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