独自性と協力の精神が生んだ、アウトドア市場を変革する一連の製品開発
昨年の11月、愛知県のAICHI SKY EXPOで行われた、「OUTDOOR & LIFESTYLE FESTA FIELDSTYLE JAMBOREE 2023」。その名の通り、アウトドアとライフスタイルを融合させた超大型の展示会が開催されました。
その出展社の中で際立つ展示ブースを出展していたのが、今回ご紹介する「DekiTech(デキテク)」です。
「DekiTech」は、この展示会にとどまらず、各地のアウトドア関連の展示会に立て続けに出展。リリースする製品は、その都度、アウトドア愛好家に好評を得ています。
ご存じの方も多いと思いますが、先般、八潮市のふるさと納税にチョイスされたことも記憶に新しいところです。
このアウトドアギアのプロダクトを取り扱う企業と、八潮市がどのような関係があるのでしょうか。
今回、この「DekiTech」の代表であり、八潮市で鞄等の皮革製品加工業を経営されている、中村 忠裕氏にお話を伺うことができました。
「DekiTech」とは
埼玉県八潮市をはじめとした地域の中小企業が、日本のモノづくり業界における新たな風を吹き込んでいるのが「DekiTech」プロジェクト。Deki(出来る)+ Technology(技術)がプロジェクトの由来です。
このプロジェクトでは、地域に根ざした中小企業や小規模事業者たちが、競争ではなく協調を選択し、各々が長年培ってきた技術力や知見を共有し合いながら独自の製品を生み出しています。
この画期的な取り組みは、「中小企業の経営をよくしたい」という目的の元で発足した中小企業の経営者の団体「埼玉中小企業家同友会」の中での熱意あるディスカッションから種が蒔かれました。
8年ほど前に蒔かれたこの種はすぐには芽が出ず、プロジェクトが具現化するまでの間には離脱した企業も多く、紆余曲折がありながらも、ようやく種が芽をあげ、現在は八潮市の企業を含む7社が中核となり、製品企画、開発、市場導入の各ステージを連携し、合同会社として「DekiTech」プロジェクトがスタートします。
八潮市をはじめ、埼玉県東部を中心に、中小・小規模事業所の経営者達が立ち上げた「異業種コラボ集団」として、デザインワーク、金属加工、縫製加工、防塵防水加工、照明器具、建築設計、溶接などの職人・技術者が名を連ねています。
楽しみながら「夢」を語らい、実現する。経営者として、技術者として、そんな姿を家族・社員・取引先・地域に見せ、ワクワクするような体験を共有できるような活動を主体とされています。
「水平分業」モデル
「DekiTech」の取り組みの最大の特徴は、それぞれの企業が対等な立場で協力する「水平分業」モデルを採用している点にあります。
「水平分業」とは、製品の開発に当たり、原料調達、技術開発、製造などの各工程を、異なる企業が水平に分業を担当するビジネスモデルを指します。 対義語として「垂直統合」があり、 水平分業のメリットとしては、設備投資の負担軽減、コアコンピタンスへの投資増大が可能な点が挙げられます。
従来の上下関係に基づく委託・受託の関係から脱却し、それぞれの企業が担う業務、さらに利益を公平に分け合うことで、一つ一つの企業がより強靭で柔軟な組織構造を築くことを目指しています。
この斬新なアプローチにより、参加企業は外部環境の変化にも動じることなく対応する力を養い、その結果として収益の向上を実現することが可能と考えています。
ブレイクはアウトドアギアでした
彼らの潜在能力が最大限に引き出された代表例が、アウトドア愛好者から支持される「A38grate」というマルチテーブル。
この製品は、その高い機能性と洗練されたデザインで、ブームを迎えていたソロキャンプ市場に新たな風を吹き込みました。
これを皮切りに、「DekiTech」は数々のアウトドアギアをリリースしていきます。
「A38grate」に多機能五徳とバーナーを組み入れた「38GT310」や、多機能コンパクトランタンスタンド「ZEROPOD38」をはじめとしたアウトドア製品の数々、さらに各製品のオプションパーツに至るまで、鉄鋼加工、照明器具製造、皮革製品加工等といった中小企業の技術を存分に生かした、受託に頼らないオリジナルのプロダクトとして、多くの愛好家たちの視線を集めています。
結果、この「DekiTech」のプロダクト製品とブランドは、現在全国100近いアウトドアショップ等で取扱いが行なわれるほどの市場の獲得と、知名度をあげることになります。
アウトドアギアがゴールではない「DekiTech」
しかし、「DekiTech」の目指すところは、単にアウトドア製品を市場に送り出すことだけではありません。
中村氏は、「「DekiTech」というこの取り組みは、本来、企業文化の改革や従業員の士気向上、そして何よりも製造業の持続可能な未来について考える機会を提供したいと考えています。」と語っています。
経営者自らが変化を恐れずに新しい挑戦を始め、その過程で新しいパートナーを受け入れることで、業界全体の新しい風を呼び込むこと。加えて、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献も「DekiTech」の大きな成果の一つであり、特に「産業と技術革新の基盤をつくろう」という目標に対する具体的なアプローチとして注目されています。
現在も、アウトドア製品はもとより、プロジェクト参加の各企業とのコラボレーションをそれぞれ進めており、多くの人々のライフスタイルに潤いを持たせるような、様々な製品の開発が進められています。
八潮市から始まったこの波は、埼玉県東部をはじめ、全国的な動きへと発展していくことや、中小企業や小規模事業者に新たな成長のチャンスをもたらすことを期待させてくれます。
また、その過程や成果は、伝統的な製造業の枠を超え、持続可能で革新的な企業運営の新しいモデルを提案しています。
このような「DekiTech」による共同努力は、現代のビジネス社会で理想とされる組織運営の在り方を提唱し、他の企業や業界にも大きなインスピレーションを与えていくことになるでしょう。大いに期待するところです。
皆さんもぜひ一度、このDekiTechの製品を手にして、中小企業のパワーを感じ取ってみてください。
中村様、お忙しいところお時間を頂きまして、ありがとうございました。
Information
現在、「DekiTech」では、八潮市内在住の方で、製品のシチュエーション撮影を出来る方(外注先)を募集しています。
また、市内外に限らず、camper系のインフルエンサーなども随時募集中しております。ご興味のある方は、DeckTeckの公式サイトからお問合せください。
参画企業
DekiTeck参加企業
(有)ジェイクラフトマン
(株)KOBATECH
(有)赤塚製作所
(株)ワイエスエム
(株)ケイサポート
38Explore
(株)栗原精機
(株)フォリオデザイン
(株)メガワークス
(株)Mコーポレーション
(株)ハイブリッジ
DekiTech合同会社/出資企業
(有)ジェイクラフトマン
(株)KOBATECH
(有)赤塚製作所
(株)ワイエスエム
(株)ケイサポート
38Explore
(株)栗原精機
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<Hacchinさん>
「やしおん」運営代表。ずっと八潮の人。30年近くネットの世界にいて20年以上ネットマーケティングやWEBの世界にいます。
本職は小さなゲーム会社の管理部長。BBQインストラクター資格。強面ですが下戸なんです。