1964年誕生の老舗洋菓子工場 八潮市と歩んだ半世紀、その次の時代へ

上野風月堂東京工場
八潮市古新田地区、中川沿いに佇む「上野風月堂 東京工場」。地域に暮らす人々にとって、この場所は単なる工場ではなく、どこか懐かしい“甘い記憶”と結びついた存在でもあります。その東京工場について、近年、建て替えが予定されていることが明らかになりました。
上野風月堂は、1747年(江戸時代)創業の老舗洋菓子店です。薄焼きのウエハースにクリームを挟んだ「ゴーフル」や、銅釜で丁寧に焼き上げる「東京カステラ」など、日本の洋菓子文化を代表する銘菓を世に送り出してきました。江戸・上野の地で「おいしいお菓子を届けたい」という志を掲げ、時代の変化に寄り添いながら、今もなお多くの人に愛され続けています。

1929(昭和4年)に風月堂一門によって東京で誕生したゴーフル。伝統の「はさみ焼き」技法で焼きあげた直径15cmほどの丸いウエハースの間に、バニラ、ストロベリー、チョコレート風味の3種類のクリームをサンド。上野風月堂を代表する東京銘菓です。市内のスーパーでも取り扱いがあります。(公式サイトより)
同社の公式ウェブサイトによると、八潮市にある東京工場は、東京オリンピックが開催された1964年(昭和39年)に新設されました。高度経済成長期のまっただ中、首都圏の発展と歩調を合わせるように誕生したこの工場は、半世紀以上にわたり、上野風月堂の味を支えてきました。
幼いころ、工場の近くを通ると、ふわりと漂ってくる洋菓子の甘い香りに、思わず足を止めた記憶があるという方もいるかもしれません。以前は工場直営店も併設され、お菓子を求めて訪れる人の姿も見られましたが、こちらは令和5年に惜しまれつつ閉店しています。
そうした歴史を重ねてきた東京工場について、八潮市が執り行う「八潮市まちづくり・景観推進会議」において、「大規模土地利用構想(株式会社上野風月堂ホールディングス:(仮称)上野風月堂東京工場建替え計画)」に関する地域特性基準の審議が行われる予定となっています。
現時点では、計画の詳細や具体的なスケジュールは公表されておらず、その全容は明らかになっていません。しかし、八潮市の発展とともに歩み、地域の風景の一部として存在してきた大規模洋菓子工場が、次にどのような姿を見せるのか、多くの関心が集まりそうです。
長い年月を経て受け継がれてきた“お菓子づくりの場所”が、新たな時代に向けてどのように生まれ変わるのか。甘い香りの記憶を胸に、今後の動きを静かに見守りたいところです。
<Hacchinさん>
「やしおん」運営代表。ずっと八潮の人。30年近くネットの世界にいます。長年ベンチャー企業でエンタメ業界や株式公開など色々と荒波にもまれ、現在本職は小さなゲーム会社の管理部長。BBQインストラクター資格。ガンプラ熱再び。












