硫化水素測定や補償方針を説明 住民アンケートでは健康被害の訴え相次ぐ
ことし1月に八潮市で発生した道路陥没事故を受け、埼玉県議会の特別委員会が9日に開かれました。委員会では、県下水道局が復旧工事のスケジュールや事業者・住民への補償対応、地下空洞調査の実施状況などを説明。
委員からは、住民によるアンケートを基に「健康被害」や「車両被害」の補償などといった質問が相次ぎ、また同アンケートでは、ストレスや精神的負担、不眠、頭痛と、多くの住民が健康面の不安を訴えています。
県は2月から現場周辺で硫化水素濃度を測定しており、担当者は「健康被害の可能性は低い」との見解を示しつつ、住民の要望を受け9月末から屋内での測定も始めたと説明しました。
また、硫化水素との因果関係が明らかになれば健康被害への補償を検討する方針を示しました。委員からは長期的な健康観察の必要性も指摘されましたが、県は「個別の相談には応じている」とした上で、県として健康調査を行う予定はないとしています。
この日の委員会では、自民党県議団が提出した住民や事業者へのきめ細かな支援を求める決議案を全会一致で可決。さらに、約195億円の復旧事業費のうち県が150億円を負担している現状を踏まえ、国に最大限の財政支援を求める意見書案なども全員一致で可決しました。
県は今後も、住民や事業者一人ひとりの相談に丁寧に対応しながら、復旧と補償に向けた取り組みを進める方針です。