第三者委員会が中間報告を公表 特殊な地盤条件も要因、年内に最終報告へ

埼玉県提供
埼玉県八潮市で今年1月に発生した道路陥没事故について、県が設置した「原因究明委員会」(委員長=藤野陽三・城西大学長)は4日、東京都港区で会合を開き、中間とりまとめを公表しました。委員会は、県が管理する中川流域下水道の管が、硫化水素による腐食で劣化していたことが陥没の原因と結論づけました。
報告によると、シール材の劣化や継ぎ手部、鉄筋コンクリート製の部材(RCセグメント)の損傷が生じ、そこから下水道管に土砂が流入。空洞が広がり、道路陥没に至ったと判断されました。ただし、管の損傷が陥没前から存在したのか、それとも事故後に生じたのかは特定できていないとしています。

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藤野委員長は記者会見で「8回の現地調査と12回の意見交換を重ねた結果だが、復旧を急いだため証拠が限られている。今後もデータを集め、年内に最終報告をまとめたい」と述べました。
また、事故現場は軟弱地盤や高い地下水位、硫化水素が攪拌されやすい環境など、特殊な条件が重なっていたとの指摘も出されました。
責任の所在については「技術的調査が目的で担当外」として明言を避けましたが、大野元裕知事は「事故で浮き彫りになった課題について、国への働きかけを強め、安全確保に努める」とコメントしています。
今回の中間報告は、最終的な検証に向けた重要な一歩であり、市民の安全を守るための対策強化が今後注目されます。