省エネ中古住宅は控除期間13年に延長、子育て世帯の優遇措置も既存住宅へ拡大

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2025年12月19日、令和8年度(2026年度)税制改正大綱が公表されました。今回の改正では、物価高への対応として、基礎控除の引き上げや「年収の壁」の178万円への見直し、NISA積立投資枠の0歳からの拡充など、家計や資産形成に直結する施策が数多く盛り込まれています。中でも注目されるのが、住宅取得に関わる住宅ローン控除の見直しです。
今回の税制改正大綱では、住宅ローン控除の適用期限を令和12年(2030年)12月31日まで延長し、5年間の延長が決定しました。あわせて、中古住宅の流通促進と省エネ性能向上を重視する観点から、省エネ基準を満たす中古住宅への支援が大幅に拡充されます。

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具体的には、認定住宅やZEH水準など、省エネ性能の高い中古住宅を取得した場合、住宅ローン控除の控除期間が従来の10年間から13年間に延長されます。また、これまで新築住宅に限られていた子育て世帯などへの借入限度額の上乗せ措置についても、省エネ基準適合以上の中古住宅にまで対象が広がります。
住宅関連施策の主なポイントは次のとおりです。
子育て世帯支援では、夫婦のいずれかが40歳未満、または19歳未満の子を持つ世帯を対象に、借入限度額が上乗せされます。認定住宅の新築では5,000万円、その他の世帯では4,500万円が上限とされ、これらの優遇措置が省エネ基準適合以上の既存住宅にも適用されます。
また、省エネ性能の高い中古住宅については、控除期間が13年間に延長されるほか、認定住宅やZEH水準の既存住宅では借入限度額の引き上げも行われます。さらに、所得1,000万円以下の世帯を対象とした床面積40平方メートルへの緩和措置についても、既存住宅に適用されることになります。
一方で、安全な住まいの確保を目的として、災害危険区域など、いわゆる「災害レッドゾーン」での新築住宅(建て替えを除く)は、令和10年(2028年)1月1日以降、住宅ローン控除の対象外とされる点にも注意が必要です。
加えて、中長期的な省エネ政策との整合性も示されました。2030年度以降、省エネの最低基準が引き上げられ、ZEH水準の省エネ住宅が事実上の標準となる見通しです。これに伴い、現行の省エネ基準適合住宅の新築については、借入限度額が2,000万円に引き下げられ、2028年以降は住宅ローン控除の適用対象外となります。

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今回の税制改正大綱により、住宅ローン控除は2030年まで延長される一方で、支援の軸足は新築から省エネ性能の高い中古住宅へと大きく移ります。特に中古住宅を検討する世帯にとっては、控除期間の延長や借入限度額の拡充といったメリットが広がりますが、新築住宅については省エネ基準や適用期限を十分に意識した判断が求められそうです。












